「ムセイオン」
脚本・演出:
酒匂ささ
出演:
星野奈穂子/田村元/赤星武(きゃべ。)/zin/福島優里(演劇集団雑菌にとろ)/酒匂ささ
コメント:
2030年代、東京都。それは細々した変化を迎えながらも、取り立てて、目に見えて、何が変わったという訳ではない未来。その片隅にある一軒の飲み処の薄暗い半地下の店内は今日も、辛うじて生き残っている絶滅危惧種「作家」たちの溜まり場となっていた。そんな中でひとり、どこか浮いた印象のある女、我妻鳴子。職業、作家。彼女は生まれつき遺伝型睡眠障害「ユメウリ(※1)」を患っており、いつ眠気に襲われるか分からない。そんな鳴子の作品は全て、「ユメウリ」がもたらした彼女の夢の物語。彼女が見た夢そのものだった。夢の世界で鳴子は非現実的なシュチュエーションを実体験し、鮮明な感覚と記憶を手に入れる。ところが、新作「ムセイオン」を執筆する鳴子に異変が起きていた。夢と現実。それは鳴子にとって、決して相容れるはずのないもの。しかしゆらゆら流れる現実と高速で終幕へと走る夢は密接にリンクし始めて、現実が夢に、夢が現実に次第に近づいていく。ふたつの今を行き来して、鳴子もじわじわ狂い出す。夢の結末か、現実の破綻か。果たしてそのどちらかを迎えてしまったら、世界は一体どうなってしまうんだろうか。
---夢に逃げる女、女に尽くすことが全ての男。快楽にふけって、理想を追って、金に縋って、幻想に浸って、結果が全てで、私だけを見て欲しい。みんなして何かに依存して、逃げて、見ない振りして、開き直ってばかりいる。それなのに生きていくにはまだまだ障壁が一杯で、苦しくて仕方がない。
ムセイオンそれは「現実逃避」と「依存」」と「開き直り」と「幸福」の物語。
「May kind to you 〜冥界より愛を込めて〜」
脚本・演出:
酒匂ささ
演出協力:
芹田鷹山
出演:
酒匂ささ/赤星武(きゃべ。)/他
コメント:
年暮れの暮れ合い、窓から視線を漂わせる地上5階の赤い街。辻みち子(27)に訪れたひとりの冬は、そりゃもうやり切れない、すっきりしない、納得いかない、そんな思いで埋め尽くされていっぱいだった。秋の終わりに借りたばかりのちゃちなマンション。ギリギリ都内。築30年ユニットバス付コンロは一口。それだって借りた時のみち子には念願の城で、それはみち子と夫、故・辻夏夫(享年25)の愛の巣になるんだったはず。それがまさか、年のひとつも越さないまま、自分が未亡人になるなんてみち子は予想だにしていなかった。正直もう、恋愛をする気にもなれない。だけど仕事を生きがいになんてできない。そんなみち子の一番の心残りは、つくる暇すらなかった夏夫との「子供」だった。」 夫婦らしいことを何一つできないまま未亡人となった女、辻みち子。夫が死んで以来、わずかな保険金でダラダラと生活していた彼女の元に、ある日死んだはずの旦那・夏夫がみち子の願いを叶え「子供」をつくるその為に、冥界から帰ってきた。死んだままで。「大丈夫。子供ならつくるよ」笑う夏夫に驚愕と困惑を隠せるわけもないみち子。さらには冥界から夏夫を追って閻魔様までやって来て、事態は混迷極まるばかり。 逢う魔が時に始まって、タイムリミットは明け烏。果たしてふたりに子供はできるのか。そもそもふたりはできるのか。 優しさも思いやりも男と女も論点も、みんな、きっと何かがずれている。死んで少しはマシになったならいいのに。そんな元・夫婦の一夜。
「ふたつ、みっつ、ひとつ」
脚本・演出:
芹田鷹山
出演:
阿部真里子/中山卓也/福井朋之(劇団創劇VANGUARD)
コメント:
若者っていうのは、下らないことにコンプレックスを持ってたり、持ってなかったり。信じていないくせに神様に願いを込めたり、多いと思って無駄に時間を消費してみたり。人に嫉妬してみたり、恋してみたり。行き当たりばったり。「〜たり」ばっかです。
そんな「〜たり」ばっかりな人生を過ごしている私ですから、この作品も「〜たり」ばかりな人ばかりです。そんな若者を見てみるのはいかがでしょうか?
「夜ばかり満てる」
脚本・演出:
橋本清
出演:
大野香織/末次政貴/高橋茉由/平舘宏大/牧野可奈絵/吉川綾美/谷本進(NEVER LOSE)
コメント:
僕たちが子どもの頃によく遊んでいた公園という場所は、よくよく考えてみると、なかなか不条理なスポットだと思います。自然に集合して、何のためらいもなく、知らない子どもたちと土の上を駆け回る。走る、登る、こける。そしてかさぶたが増える。
「不条理を条理にすることは不条理」ということに真正面から向き合ってみようと思う今作。日常の誰もが感じる様々な風景を切り取り、それをくどい程に誇張していきます。 子どもたちの世界に自己紹介は必要ないと思いますが、今年ようやく年齢では大人になったので、橋本清です。はじめまして。よろしくお願いします。